第42回日本受精着床学会総会・学術講演会に参加して

2026.08.12 | 学会参加レポート,ラボラトリーブログ

第42回日本受精着床学会総会・学術講演会に参加して

胚培養士の水本です。
7月30~31日に京王プラザホテル(東京)で開催された第42回日本受精着床学会総会・学術講演会に、院長、私、胚培養士の本田、計3名で参加してきました。
今回私は2題発表の機会をいただきました。また、メルボルン大学のDavid Gardner教授と共同研究に関するミーティングを行いましたので、それぞれ報告させていただきます。

“カレントトピックス7: 先進医療Aの進捗状況と今後の展望“というセッションでは「PICSIのこれまでと現在」と題した発表を行いました。
PICSIとはヒアルロン酸を用いた良好精子の選択法です。2022年の不妊治療保険適用に際して先進医療として認定されている優れた技術ですが、認定された当初はPICSIの適応症が限定されており、初回治療の患者様には使用する事が出来ませんでした。

2024年から当院が主導となり適応症の緩和に関して厚生労働省に働きかけ、現在は初回治療からPICSIを実施する事が出来るようになりました。
2024年に開催された同学会で「PICSIの現在とこれから」と題した発表を行い、適応症を始めとするPICSIを取り巻く状況について報告させていただきました。【第42回日本受精着床学会(大阪)に参加して】 今回はその続きに当たる内容で、適応症緩和に至った経緯と保険収載に向けたPICSIの有効性に関する多施設共同研究の進捗状況を報告させていただきました。
今後もより多くの患者様に優れた治療を提供出来るよう活動を続けて行きたいと思います。

“カレントトピックス10:「PGT-A成績に強く関わる因子とは?」診断精度と生検技術”というセッションでは「PGT-Aの技術改善と成績への影響」と題した発表を行いました。
PGT-Aは、胚盤胞の細胞を一部採取して染色体の数的異常が無いか検査し、正常な胚を選別して移植する治療方法です。
胚培養士が行う顕微授精や胚凍結などの技術は各施設によって方法が異なるものの、ある程度の標準的なプロトコールが存在します。一方で、PGT-A技術は本邦においてまだ新しい技術という事もあり、ゴールデンスタンダードと言える方法論が存在しません。PGT-Aには、透明帯(胚を囲む殻)の穿孔、細胞の吸引採取、細胞の洗浄、チューブへの封入といった多くの手順を要しますが、それぞれ施設毎で異なるのが現状です。

今回の報告では、当院がPGT-Aの導入以降行ってきた技術改善と検査結果や臨床成績の関係性について報告させていただきました。
現在の当院におけるPGT-A成績は、日本産科婦人科学会の報告する全国平均よりも高い水準を維持しています。今後も更なる技術改善を行うとともに、情報発信・共有してより多くの患者様にお子さんを抱いていただけるよう努めていきたいと思います。

Gardner教授とは以前から様々な共同研究を行い、抗酸化物質添加培地等の開発を行ってきました。【フィラデルフィアで開催された生殖医学会(ASRM)に参加して】 現在は高濃度ヒアルロン酸含有培養液のアップデートを目的とした研究を行っています。
本来、胚は卵管や子宮の中で過不足ない栄養が供給されて育ちます。体外では同じ条件を完全に再現出来ませんし、全く同じだから良いとも限りません。
患者様が人それぞれであるように、卵子や精子そして胚もそれぞれです。当院では常にデータ分析を行い、他施設の方から見ると少々煩雑に感じられる程オーダーメイドに治療内容の検討を行っています。

末筆では御座いますが、11月から増改築に伴う休診に伴い、皆様には大変ご不安とご迷惑をおかけしております。
休診期間中も蔵本ウイメンズクリニック一同、業務改善や治療成績向上に向けた研究により一層力を入れて取り組み、建屋だけでなく我々自身もリニューアルして新たに治療に臨みたいと考えております。
何卒ご理解の程宜しくお願いいたします。

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