福岡の不育症の検査・治療

不育症の検査・治療とは

『不育症』とは 妊娠はするものの、2回以上の流産や死産または生後1週間以内の死亡により、赤ちゃんが得られない病気です。流産を2回繰り返す「反復流産」や3回以上流産する「習慣流産」も不育症に含まれます。
流産手術の際に絨毛染色体検査を受けられ、染色体が正常であった場合は、母体側の原因を調べる検査をお勧めします。

ここでは当院で行うことのできる検査をご紹介します。

当院で実施可能な不育症の検査

胚の因子

PGT-A/SR(着床前染色体異数性検査)

胚の染色体を移植する前に調べる検査です。
対象者は、ARTを行っている方で胚移植を2回以上行っても妊娠しない方、子宮内妊娠が確認された後に流産を2回以上繰り返した方、35歳以上の不妊症の方、ご夫婦のいずれかあるいは双方に染色体の構造異常を認める方となります。

PGTについて右矢印

子宮内の病変

子宮内膜ポリープ、子宮粘膜下筋腫、子宮腺筋症、子宮形態異常(中隔子宮)などの子宮内の病変が流産の原因となることがあります。

子宮鏡検査・手術

子宮の入り口からカメラを挿入し、子宮の中を観察します。
子宮内に病変を認めた患者様は、当院で手術可能な病変であれば、検査当日に外来手術を行うことが可能です。

  • 料金(保険)
    子宮鏡検査 約3,000円
    子宮鏡下子宮内膜ポリープ摘出術 約20,000円
    子宮鏡下子宮筋腫摘出術 約57,000円
    子宮鏡下子宮内腔癒着切除術 約56,000円

    *麻酔、薬剤料は除く

子宮鏡について右矢印

子宮卵管造影検査

子宮の入り口からチューブを挿入、造影剤を注入して、レントゲンの撮影を行います。子宮の形態異常、卵管の通過性(卵管水腫)や癒着の有無を判断します。

  • 料金(保険)
    約11,000円

MRI検査

経腟超音波検査で子宮、卵巣、卵管に病変を認めたときに、より詳細に調べ、適切な治療法をご提示することができます。近くの画像診断センターや高次医療機関にご紹介をさせていただきます。

子宮内膜環境の異常

子宮内膜環境が悪くなることも着床不全や流産、早産の原因と考えられています。
保険診療で不妊治療を行われている方は先進医療として、その他の方は自費診療でEMMA/ALICE(子宮内細菌叢検査)を行うことができます。

先進医療について右矢印

EMMA/ALICE(子宮内細菌叢検査)

子宮内には常在菌として、善玉菌のラクトバチルスが存在しており、十分なラクトバチルスがいることが、妊娠する環境として適しているとされています。
この菌のバランスが崩れることで、胚の着床障害や、流早産に関連していると言われています。

EMMAとは、子宮内にラクトバチルスが存在するか調べ、極わずかしか検出されなければ、ラクトバチルスの補充を行います。また、有害な菌が多数検出される場合は、その菌に対して有効な抗生剤を服用します。

ALICEとは、慢性子宮内膜炎が反復着床不全の約30%(日本産婦人科学会HP)に存在していることから、慢性子宮内膜炎に関連する病原菌がいるか調べ、必要なら適切な抗生剤を処方します。

  • 検査結果が出るまで
    検査後約3週間
  • 料金(自費)
    56,000円
子宮内膜マイクロバイオーム検査(EMMA)

出典:https://www.igenomix.jp/endometrium/authentic-era/

免疫バランスの異常

子宮内膜環境が悪くなることも着床不全や流産、早産の原因と考えられています。
保険診療で不妊治療を行われている方は先進医療として、その他の方は自費診療でEMMA/ALICE(子宮内細菌叢検査)を行うことができます。

Th1/Th2

胚(胎児)が母体にとって、自分以外の存在『非自己』と認識されることで着床不全や流産の原因となっているという考えがあります。通常は胚が着床し、胎児を攻撃しないために免疫寛容を誘導するヘルパーT細胞が働いています。

しかし、反復着床不全、不育症の方の中には、Th1やTh1/Th2比が高い方が認められ、胚(胎児)に対して、母体の拒絶反応がおこり、着床不全や流産を引き起こすと報告されています。Th1やTh1/Th2比が高い場合は、免疫抑制剤であるタクロリスムを内服し、Th1/Th2比を調整します。

  • 検査結果が出るまで
    採血後約3週間
  • 料金(自費)
    約7,500円
Th1/Th2

ビタミンD

妊娠前の血中ビタミンDは着床にも関連していることが報告されています。

また、妊娠中のビタミンD不足は、妊娠高血圧、妊娠糖尿病、不育症のリスク因子になることが報告されています。
血中の25(OH)ビタミンD濃度が30ng/ml以上を『充足』、20〜30ng/mlを『不足』、20ng/ml未満を『欠乏』とされています。
日本人女性はビタミンD不足や欠乏が多く、多くの女性はビタミンDの補充が必要となります。
一般にビタミンDサプリメント25μg/日以上の摂取をおすすめしています。

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  • 検査結果が出るまで
    採血後約1週間
  • 料金(自費)
    約1,300円

血栓性素因、血液凝固系の異常

血栓性素因とは、胎盤に血流障害が生じ、流産や子宮内胎児死亡などを引き起こすと考えられている項目です。中でも抗リン脂質抗体症候群は不育症で抗凝固療法の有効性が証明されており、不育症の患者様は保険診療で一部の検査を受けることが認められています。

当院では、不育症の方を対象として自費診療で血栓性素因、血液凝固検査を測定します。
また、福岡県は2025年2月25日現在、自費診療分の不育症検査・治療の料金1/2が助成金の対象となっております(限度額あり)。

不育症検査(保険)

不育症と診断された方のみを対象

  • 料金(保険)
    抗カルジオリピン抗体IgM 680円
    抗カルジオリピン抗体IgG 680円
    ループスアンチコアグラント(dRVVT) 800円

不育症検査(自費)

  • 料金(自費)
    抗カルジオリピンβ2GPI抗体 2,500円
    ループスアンチコアグラント(リン脂質中和法) 3,000円
    抗PE抗体 5,000円
    抗核抗体 1,000円
    プロテインS活性 1,800円
    プロテインC活性 2,500円
    第Ⅻ因子活性 2,500円

β2GPIネオセルフ抗体

β2GPIネオセルフ抗体は血管の炎症を引き起こすことにより血栓ができやすくなり、不妊症・不育症の原因となると考えられています。

これらの因子が陽性であった場合、低用量アスピリン療法(自費)を行います。
抗リン脂質抗体症候群の診断がついた場合は、保険診療で低用量アスピリン療法、ヘパリン療法を行います。

  • 検査結果が出るまで
    採血後約3週間
  • 料金(自費)
    約34,000円

染色体検査

流産絨毛染色体検査

胎児の染色体に異常がある場合、流産の原因となります。胎児の染色体検査を『流産絨毛染色体検査』といい、流産したときに子宮内に残っている絨毛(胎盤の一部を構成する)組織を採取し、染色体に異常がないか調べます。

染色体の数の異常は、一般的には受精卵に自然に発生した異常であると考えらえています。
染色体の構造に異常があった場合は、ご夫婦のいずれかが「均衡型相互転座」などの構造異常を持っている可能性があります。ご夫婦のいずれかに、このような構造異常を持っている場合は、流産を繰り返す原因となるため、ご夫婦の染色体検査を行うことをお勧めしています。
染色体の異常が見つからなかった場合は、抗リン脂質抗体症候群(血栓性素因)など染色体以外の原因がないか検査を行います。

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  • 対象
    1回以上の胎嚢確認後の流産(化学的妊娠は含まない)の既往がある方
    ある程度、胎嚢が大きくならないと検査結果がでないことがあります
  • 検査結果が出るまで
    絨毛提出後約4週間
  • 料金(保険)
    15,000円
    初回流産で検査を希望される場合は、約55,000円(自費)となります。

夫婦染色体検査

ご夫婦の血液検査によって行う染色体検査のことです。血液中の白血球から染色体を取り出し、Gバンド法という特殊染色を行って染色体の数や構造の異常がないかをみる検査です。

  • 対象
    反復流産(胎嚢を確認後 2回以上の流産、化学的流産は含まない)の方
    検査で異常があった場合は、遺伝カウンセリングを行います
  • 検査結果が出るまで
    採血後約3週間
  • 料金(保険)
    8,620円/人

内分泌・代謝検査

内分泌・代謝異常があると流産のリスクが高くなると報告されています。

甲状腺機能検査(TSH、FT4、抗TPO抗体)

甲状腺機能低下症は流産、早産、胎児発育遅延との関連が報告されています。

  • 検査結果が出るまで
    採血後約1週間
  • 料金(自費)
    約4,000円

糖尿病検査(HbA1c)

糖尿病は流産に関連すると言われています。食後2時間以上経過して採血します。

  • 検査結果が出るまで
    採血後約1週間
  • 料金(自費)
    約600円