第23回JISARTシンポジウム参加のご報告

2026.06.29 | クリニックレポート,ドクターブログ

第23回JISARTシンポジウム参加のご報告

こんにちは、副院長の蔵本和孝です。
今回、6月13日~14日に開催された第23回JISARTシンポジウムに参加してきましたので、ご報告いたします。

JISART(日本生殖補助医療標準化機関)は、不妊治療の質と安全性の向上を目的とした全国の生殖医療施設による組織です。加盟施設は厳格な基準のもとで診療を行い、患者様へより良い医療を提供できるよう日々取り組んでいます。

今回のシンポジウムは品川で開催され、当院からは医師2名、培養士2名、看護師1名、事務2名、メディカルクラーク1名の計8名で参加しました。

1日目は、各部門におけるAI活用に関する講演が行われました。
近年、医療現場でもAIの導入が進んでおり、診療録作成の補助、患者様からの問い合わせ対応、文書作成、データ集計、業務マニュアルの整備など、さまざまな分野で活用が始まっています。AIを活用することで、単純作業や事務作業に費やす時間を削減し、その分を患者様対応や医療の質向上に充てることが可能になります。
当院においても、安全性や個人情報保護に十分配慮しながら、業務効率化やサービス向上につながる活用方法を検討していきたいと考えています。

2日目は、社会的卵子凍結の現状についての講演などが行われました。
社会的卵子凍結とは、現時点では妊娠を希望していない女性が、将来の妊娠・出産に備えて卵子を凍結保存する方法です。近年、日本でも関心が高まっており、自治体による助成制度の整備も進んでいます。そのため、卵子凍結の意義や限界について正しく理解していただくための情報提供がますます重要となっています。

約1,500人の卵子凍結女性を追跡した海外の研究では、実際に凍結卵子を使用したのは11%であり、使用時の平均年齢は41.8歳でした。そのうち約28%が出産に至ったと報告されています。一方で、45歳以上で凍結卵子を用いて妊娠した場合には、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、癒着胎盤などの母体合併症に加え、早産や低出生体重児などのリスクが高くなることも報告されています。そのため、国内でも凍結卵子の使用は45歳未満が推奨されています。

卵子凍結は将来の妊娠を保証するものではありませんが、将来の選択肢を広げるための方法の一つであり、そのメリットと限界の両方を理解したうえで検討することが大切であると改めて感じました。

今回のシンポジウムでは、最新の生殖医療に関する知見だけでなく、組織運営やAI活用など、今後のクリニック運営に役立つ多くの学びを得ることができました。今回得られた知識や経験を院内で共有し、患者様により安心して治療を受けていただける環境づくりと、さらなる医療サービスの向上につなげていきたいと思います。

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