リスボン(ポルトガル)で開催された生殖医学会(ESHRE)に参加して
カテゴリー: 学会参加レポート 2015年6月1日
ポルトガルのリスボンにて、6/14から6/17までヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)が開催されました。
院長、研究部1名、培養士1名、看護師1名の計4名で参加しました。世界各国からたくさんの人が参加しており、口頭発表は281題、ポスター発表796題あり、当院は研究部からポスター発表を1題行ないました。
当院の発表は、無血清の培養液の検討で、ウシの卵子を用いてヒト由来の血清入り培養液と無血清の培養液を使用し、媒精から胚盤胞に至る時間、及び胚盤胞形成率を比較検討したという内容です。無血清の培養液を用いることは、生殖医療の安全にとても重要です。当院では、動物の基礎実験をふまえて臨床に応用しています。
リスボンに到着したのは深夜だったため、その日はそのままホテルに宿泊し翌朝より2日間午前中は、日本語セミナーを受講しました。日本語セミナーのおかげで英語がほとんどわからない私でも、たくさんのことを吸収できたように思います。
学会発表の内容は主にPGD(着床前診断)/PGS(着床前受精卵遺伝子スクリーニング)の話やsingle step medium(初期胚から胚盤胞まで全て同じ培養液で培養する方法)の話、タイムラプス(受精から胚盤胞までの発育経過を観察するもの)の話、子宮内膜症、PCOS、OHSSの治療に関する内容を多く耳にしました。
看護部門では、ストレスと妊娠継続や流産の関係に関すること、心理的サポートの重要性、経膣超音波検査の看護師の手技習得に関することなどの発表がありました。
今回、国際学会に参加できたことで、世界の文化の違い、各国で行われている医療の違いを知り、世界の広さを感じたと共に、医療に携わる人として、また一人の人として沢山の刺激を受けました。
ポルトガルはユーラシア大陸の最西端に位置する国で、日本からは直行便が無いため羽田からドイツのフランクフルト経由で計16時間ほどかけて到着しました。到着日は、ポルトガルでも珍しい雨と気温(16度前後)で真夏を想像していた私たちにはとても寒い日でした。
学会後の後半は、天気にも恵まれ30度超えで想像よりも少し暑い日差しの中観光しました。リスボンは1755年に起こったリスボン大地震後に復興した街で、最終日に行くポルトガル第2の都市ポルトの街並みに比べ多少現代風な造りであったものの、ヨーロッパらしい美しい街並みでした。
ポルトガルの食事は、大西洋に面していることもあり魚介類がメインで、日本人の口によく合う食事内容でした。また、ワインがよく飲まれていて食事の際は必ず白ワイン、赤ワインが用意されていました。ポルトガルでは食事の際に必ずワインを飲むので、飲酒運転の基準も日本より少し甘く、一杯のワインぐらいなら許容されるようです。
今回、国際学会に参加という貴重な体験をさせていただいたのに加え、ポルトガル観光も十二分に楽しませていただき、食べ物もワインも美味しくて、このような経験をさせてくださった院長に深く感謝すると共に、参加するに当たり業務の調整に協力して下さったスタッフの方々に深く感謝しています。ありがとうございました。
培養部 打田沙織
看護部 高尾ひろみ