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スタッフブログ

イスタンブール(トルコ)で開催された生殖医学会に参加して

カテゴリー: 学会参加レポート 2012年8月1日

2012年7月1日~4日までの4日間、トルコのイスタンブールにて開催されたヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)に参加させて頂きました。
今回の参加者は蔵本院長、口頭発表を行う研究部1名、培養士である私の3名でした。私にとって国外での学会参加は初めて・・・というより、海外に行くこと自体が人生2度目で、緊張以前に楽しみもありましたが、少々不安もあり、フライト前日は小学生時代の遠足前日のような気持ちで、久しぶりに眠れませんでした。

会場前にて
会場前にて

今年の学会の参加人数は8518名、参加国は118か国、口頭発表249題、ポスター発表600題でした。
昨年も口頭発表を行った研究部の村上は、今年はなんと世界で5名しか選出されない学会賞候補の一人に選ばれました。
血清中のアルブミンは細胞の増殖などに欠かせない成分で、培養液や凍結液にも含まれています。現在、動物由来のアルブミンを用いていますが、育ってきた環境によってそれらの成分は変わりますし、感染の可能性もないとは言えません。そこで、より安全な組換え結成(リコンビナントアルブミン)に代替できないか、今回はリコンビナントヒトアルブミンを凍結液に添加した胚盤胞凍結の成績について発表を行いました。
惜しくも学会賞を受賞することはできませんでしたが、世界に先駆けた有用な検討であることが認められました。また、この検討に私自身も関わっていることから、培養士という職業の重要さを再認識し、ますます意欲が湧きました。

浸食によって形成されたラクダ!
浸食によって形成されたラクダ!

興味を引かれた演題は多数ありました。その中で、単一胚盤胞移植において、拡張の状態、内細胞塊(将来、赤ちゃんになる細胞)、栄養外胚葉(将来、胎盤になる細胞)の形態的評価と妊娠率の関係について述べていた演題があり、現在、拡張の状態、内細胞塊、栄養外胚葉をそれぞれ評価する方法が一般的に用いられています。
複数の胚が存在する場合、評価した3項目のどれを優先すべきかが頭を悩ませます。その演題によると、拡張の状態が良好な胚を優先して移植した方が妊娠率は上昇するということでした。このような検討を国内では見聞したことがなく、当院でもデータを出したことがありませんでしたが、この演題の結果から、内細胞塊や栄養外胚葉の形態があまり良好でなくても、拡張していれば十分妊娠の可能性があると考えられました。

宗教や法律の違いによって、移植を行う胚数が国ごとに決まっていたり、日本では否認されている卵子提供や代理懐胎が容認されている国があります。そのような背景があるためか、国内でこれまで報告がなかった演題が多数ありました。もちろん、日本でそのまま応用できるような演題ばかりではありませんでしたが、新しい視点から検討するということで、演題の内容だけでなく、その点も参考になりました。

学会終了後、世界遺産に登録されているカッパドキアを観光しました。
浸食によって形成されたラクダ!言葉では表現できないほど雄大な景色で、特に夕暮れ時に真っ赤に染まる様が非常に美しく、また料理も日本とは全く異なる味で、そのボリュームにも驚きましたが、世界三大料理に入っていることもあり、とても美味しかったです。
頭も心も体も全て満たされた、非常に素晴らしい濃密な一週間でした。今回の学会で学び、感じたことを忘れず、気持ちを一新して努めます。

培養室 峰

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