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スタッフブログ

福岡市で開催された第76回九州・沖縄生殖医学会に参加して

カテゴリー: 学会参加レポート 2019年5月11日

福岡市のエルガーラホールにて、2019年4月7日(日)に九州・沖縄生殖医学会が開催されました。
院長をはじめ医局、培養部、看護部などスタッフ全員で参加しました。
九州・沖縄の不妊治療施設から、口頭発表37題、ポスター発表18題があり、当院からも5題発表しました。
医局からは1題、培養部からは3題のうち2題をここで紹介させていただきます。

「当院における反復着床不全に対するERA(Endometrial Receptivity Analysis;子宮内膜受容能検査)の有用性の検討」
院長の勧めでERAの論文を初めて読んだとき、生殖の分野は正に日進月歩で、常にアンテナを張って新しい情報を仕入れ、それが有能なものかを判断していくことが大事であると改めて感じました。その後、院内倫理委員会の承認を得て、当院では2018年3月にERAを導入しました。
ERAは、ARTにおいて良好胚(胚盤胞)を複数回移植しても着床に至らない反復着床不全の方を主な対象とした検査で、遺伝子レベルで着床可能な時期のズレがあるかを調べます。(詳しくは当院ホームページの治療の項目の反復着床不全の部分や、検査委託会社であるIgenomix社のホームページをご覧ください)
2018年12月までに当院でERAを行った後に胚盤胞移植を行った症例を検討しました。ズレを補正して個別化された胚移植を行った群では、反復着床不全にも関わらず高い妊娠率が得られました。良好胚の凍結はできるものの着床に至らず悩まれる方々にとって有用な検査なのか、今後も慎重に検討を重ねていく所存です。
                                                  医局 小川 尚子

「抗酸化物質を添加した培養液は精子の運動性維持に有効である」
当院では、培養液への抗酸化物質添加に関する試験に取り組んでおり、これまでに、ARTの一連の手順における採卵から胚培養までに用いる培養液への抗酸化物質の添加が、臨床成績向上に繋がることを報告しております。今回の発表では、精子においても抗酸化物質は有効であることを比較検討し、報告しました。
学会発表は初めてで緊張しましたが、良い経験をさせていただきました。今後、もっと検討を重ねて臨床成績の向上に繋げていきたいと考えます。
                                                 培養室 一木 巴恵

「遠心フリー運動精子選別装置MIGLISの有効性」
当院では、精子処理の際に、主に攪拌密度勾配法と呼ばれる方法を用いております。この方法は、遠心分離により良好運動精子を回収するものです。そして今回は、遠心操作による精子へのストレスをなくす目的で、遠心不要の”MIGLIS”という運動精子選別装置の有効性について、精子の運動性の観点から検討しました。
結論としては、MIGLISは運動性の高い精子の回収に有効であると示唆されます。また、今後の追加検討もいくつか明瞭化することができました。
今回の発表を通して得た知識や経験を今後の業務に生かし、日々邁進していく所存です。学会で発表することだけをゴールとするのではなく、検討内容を実際に臨床の場に応用し、治療成績の向上に繋げていきたいです。
                                                 培養室 後藤 美緒

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