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スタッフブログ

アムステルダム(オランダ)で開催された生殖医学会に参加して

カテゴリー: 学会参加レポート 2009年6月1日

学会会場の前で:左から蔵本院長,金子,池田(看護部)
学会会場の前で:左から蔵本院長,
金子,池田(看護部)

2009年6月29日~7月1日までオランダのアムステルダムで開催されたヨーロッパヒト生殖医学会に参加してきました。
今年は看護部から2名で参加させていただきました。私たちにとっては、初めての海外での学会参加だったので、不安と緊張、期待と興奮の入り混じった気持ちで日本を出発しました。
アムステルダムと日本は時差が7時間程あり、現在はサマータイムということもあり、夜遅くまで明るい陽気な雰囲気を味わうことができました。また、運河や水路、跳ね橋といった美しい町並みも見ることができました。

会場では、世界各国の不妊治療に携わっておられる医師や培養士、看護師や心理カウンセラーなど様々な分野の方々が参加されていました。また、海外ならではなのかラフな服装での参加者が多く、日本の学会とはまた違う雰囲気を味わうことができました。

アムステルダムで開催された生殖医学会に参加して今年の演題数は589題で、口頭発表が285題、ポスター発表が304題でした。看護部門では、口頭発表が4題とポスター発表が3題でした。
調節卵巣刺激の際にOHSSを重症化させないということは大変重要ですが、特に興味深かったのは、hCG投与後にカルシウムを静注することで、軽度あるいは重度のOHSSに伴う臨床症状の発現を抑制できることや、cabergoline(別名カバサール)を投与することによってOHSSの発症を抑制できるという発表でした。
カルシウムやカバサールがOHSSの抑制に効果があること、また、OHSSの発生機序も詳しく知ることができ、大変勉強になりました。

また、肥満女性にカロリー制限を行い、1日1万歩の歩行と1日30分のエアロビクスを1週間に3回行うことで、体重減少を促し、自然妊娠率を高めることができるという発表がありました。西欧諸国では不妊女性の35%は過体重あるいは肥満と言われ、これは日本と比べると多く、また、今回の対象者の平均BMIは37.7であり、これも日本と比べるとかなり高い数値ですが、肥満の程度の差はあるものの、体重を減らすことで、排卵周期を獲得することができ、妊よう性が高まるので、肥満女性には生活習慣を見直し、体重を減らすことが重要だとあらためて実感しました。
ただ、プログラム的にはハードなものなので、時間の確保や継続することの難しさがあります。まずは、自分の生活習慣をノートに書き出してみるなど、できるところから始め、どこに問題があるのか患者さん自身が自覚できるようにするところから始めていくことが大切だと感じました。
また、日本の患者団体であるFINEとART専門クリニックから構成されるJISARTの活動が2009年で5年目を迎え、順調に機能していることが報告され、日本の患者さんが安心して受けやすい環境を作るためのFINEの活動を知ることができました。

他に出自を開示することについての発表があり、法規制や法の運用など、色々な問題が関わっており、どのような方法で出自を開示するかということについてはさらに検討する必要があるということで、大変深く考えさせられるものでした。
今回、ヨーロッパヒト生殖医学会に参加させていただき、大変勉強になったことや、異文化に触れ、その国の特性や魅力を肌で感じることができたと同時に、また日本の良さも再認識することができ、大変貴重な経験となりました。このような経験をさせていただいた院長に大変感謝いたします。ありがとうございました。

看護部 金子清美
池田美樹

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