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スタッフブログ

第42回日本受精着床学会(大阪)に参加して

カテゴリー: ラボラトリーブログ, 学会参加レポート 2024年8月28日

培養士の水本です。
8/22~23に大阪国際会議場で開催された日本受精着床学会学術集会に、蔵本院長、長尾培養室主任と参加してきました。今回当院は3演題の発表を行いましたが、私からはその内容について紹介させていただきます。

長尾主任の演題は「TESE-ICSIにおける奇形精子使用の影響」というものです。
我々が通常顕微授精(ICSI)を行う際は、運動能の高い形態良好な精子を選別して使用しますが、精巣内精子を使用する場合(TESE-ICSI)や重度の乏精子症の場合は、精子の選択肢が少なく苦慮する事があります。今回、当院で実施したTESE-ICSIの結果を集計し、精子の運動能と形態毎の臨床成績を比較したところ、運動能が低い場合であっても正常形態精子を使用した方が受精率と培養成績が良くなる事が分かりました。
今後も引き続き検討を行い、精子選別に関する明確な基準を定めたいと思います。

私は今回2題発表の機会をいただきました。
初日には、”先進医療の将来展望” というセッションにおいて「PICSIの現在とこれから」と題した発表をさせていただきました。
PICSIとはヒアルロン酸を使用して良好な精子(成熟した精子)を選別する技術の事です。2022年4月からの不妊治療保険適用に際して特定の技術が先進医療に選定され、保険収載に向けて日々臨床研究が行われています。PICSIもその技術の1つであり、私からは現在までのPICSIの成績と今後の展望について報告させていただきました。
現在、先進医療の多くは適応症が限定されている状況です。当院は保険適用以前からPICSIを採用し良好な成績を収めており、今後より多くの方に技術を提供出来るよう活動を続けて行きたいと思います。


最終日には、”How do Antioxidants work in the culture medium?” というセッションを、メルボルン大学のDavid Gardner教授と2人で担当させていただきました。
Gardner教授は培養液の研究を始めとし、世界中で使用されている胚盤胞の評価方法を立案されるなど著名な先生です。当院はこれまでに先生方の研究室と共同で抗酸化物質を添加した培養液に関する研究を行っており、特に高齢患者の臨床成績向上に有効である事を明らかにしています。今回先生から抗酸化物質が培養液中で働くメカニズムについて、私からは「抗酸化物質を添加した培養液の臨床転帰について」というテーマでこれまでの臨床成績を報告させていただきました。

我々培養士は日々皆さまの卵子・精子・受精卵を取り扱っております。受精や発生(胚の発育)は本来卵管や子宮の中で起こるものであり、ほんの少しの事で成績が左右されます。今後もより良い治療を提供するために研究を行い、結果を発信していきたいと思います。

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培養士の長尾です。
8/22~23日に大阪の国際会議場にて開催された「日本受精着床学会」に蔵本院長、水本室長とともに参加してきました。この学会は毎年この時期に開催されており、全国の医師や看護師、培養士などが多数参加しております。私は1日のみの参加でしたが、他施設の培養士の方々、企業の方々と意見交換をしたり、さまざまな発表を聞いたりすることで最新の知見を得ることができました。また、世の中にはChat GPTといったいわゆるAIが広まってきていますが、不妊治療分野にもその波がきており、AIに胚を評価させる、AIに分析をさせるなどといったAIを活用した発表も多数見られました。
不妊治療に関わる技術は日進月歩です。このような学会で得た知識をクリニックに持ち帰り、不妊に悩む患者様の力に少しでもなることができればと思います。


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