ロンドン(イギリス)で開催された生殖医学会に参加して
カテゴリー: 学会参加レポート 2013年7月1日
2013年7月6日~7月13日、イギリス・ロンドンで開催されたヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)に参加させて頂きました。
参加者は、院長、培養部1名、研究部1名と看護師の私1名でした。事前情報ではロンドンは快晴の日が少なく、曇っていることが多いと聞いていたのですが、滞在中はすっきりとした快晴で天候にも恵まれました。歴史ある建物や寺院を見ることができ、街のさまざまなところに花が植えられており、映画にでもでてきそうなとてもきれいな街並が印象的でした。
今年の学会の演題数は888題で、口頭発表が282題、ポスター発表が606題でした。
当院からは、研究部が口頭発表、培養部がポスター発表を行いました。通常、胚の培養や凍結保存する時に人の血液からとってきた血清を用います。これまで研究部では、これらの成分を含まない「無血清」の液で胚が凍結できることを学会で示してきました。無血清の凍結液を使用することで感染症等のリスクが減り今までよりもより安全に胚凍結が行えるようになります。
今回の発表は、この無血清の液で胚を凍結しても移植後に高い妊娠率が得られることを200症例以上の検討で発表しました。また生まれてくる児の予後も従来法と変わらないことを100症例以上の出生児で確認しました。この発表は当院が世界で初めてです。また、培養部がその無血清の凍結液と、液体窒素に直接胚が触れない凍結方法で安全に胚凍結がうまくいくことを発表しました。
国際学会ではすべての発表は英語で行われるため事前に日本語セミナーを受け、その後興味のある演題の発表が行われる会場へと向かいました。会場にはさまざまな国の方が訪れ質問も活発に行われていました。
看護部の発表はストレス、ライフスタイルに関する意識調査が多かったように思います。その中で、妊孕性評価カウンセリングクリニックというのがあり、そこでは妊孕性に関する検査を行い、男性、女性、またはカップルにカウンセリングを行っています。将来の妊孕性に関する不安と生殖年齢期間に関する情報を得たい、というのが主な受診理由です。
実際に35歳前後で出産経験がない女性が多く、その半数以上が現在妊娠を望んでいないということでした。一般的に35歳頃から妊孕性が低下すると言われています。晩婚化が進むなかで、こうした専門のクリニックからカウンセリングを受け、現在の状態を知り自分らしいライフスタイルをつくっていくことができれば理想なのではないかと思いました。
国によって文化、習慣、価値観等さまざまなことが異なりますが何か取り入れることができればよいと思いました。
最後にロンドンといえばビートルズです。学会の合間をぬって、あのアルバムジャケットで有名なアビーロードへも行ってきました。
ビートルズになりきろうと、つらい早起きをし、カツラをかぶったりと少し恥ずかしくもありましたが、とてもいい思い出になりました。
初めての国際学会の参加で不安と緊張での出発でしたが、その土地の空気、文化に触れ、その中で学べたこと、このような貴重な経験の機会を与えてくださった院長に深く感謝いたします。ありがとうございました。
看護部 山田絵美