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治療について

がん治療前の卵子や精子の凍結保存

医学的適応による未受精卵子・精子の採取・凍結・保存に関するご案内

卵子の採取・凍結保存

当院では、がん治療前に未受精卵子の凍結保存を行うことができます。

悪性腫瘍などに罹患し、その治療を目的として外科的療法、化学療法、放射線療法などを行う結果、妊娠・出産を経験する前に卵巣機能が低下し、妊孕性(妊娠のし易さ)が失われる場合もあります。これが予想される場合に、妊孕性を温存する方法として、未受精卵子の凍結保存をおこないます。(医学的適応)

なお、この方法は、がん治療担当の主治医が、がん治療に影響を及ぼさないと判断し、文書による適切な情報提供がなされている場合にのみ行われます。また未成年者の場合は保護者の同意が必要となります。ご結婚されている方の場合は、夫の精子と受精させた後に凍結保存する胚凍結を推奨しています。これは受精後の方が、成績や安全性が高いためです。

卵巣刺激により複数の卵胞を発育させ、麻酔下で経膣的に卵子を採取し、受精させる前の成熟卵子(未受精卵子)を凍結保存します。

凍結保存の様子

凍結方法は、凍結専用の機械を用いて徐々に冷却して凍結する緩慢凍結法と、超急速凍結法(ガラス化凍結法)があり、当院では超急速凍結法を用いて行います。超急速凍結法は、卵子を凍結によるダメージから保護するために高濃度の凍結保護剤を含む溶液中に卵子を浮遊させ濃縮した後、特殊な凍結容器に卵子をのせて、-196℃の液体窒素で超急速に冷却して凍結する方法です。超急速に冷却されるため、融解した時の生存率が高い(約95%)という利点があります。凍結した未受精卵子は、使用するまでの間 液体窒素の中で保存します。

融解方法は、超急速融解法を用います。凍結保存していた未受精卵子を液体窒素内から取り出し、融解用に調整された培養液で超急速に37℃へ温めることにより融解を行います。融解した卵子を受精させるためには、顕微授精を行う必要があります。受精が確認されたのちに行う胚移植は、排卵周期を利用して胚移植する方法(自然周期)と人工周期を用いて子宮内膜を調整して胚移植する方法(ホルモン補充周期)があります。当院では主にホルモン補充周期での胚移植を行っています。排卵障害のある方を除けば、2つの方法で妊娠率に大きな差はありません。

人工授精の様子

がん回復後、病態が改善し、がん治療をおこなった主治医が当院での治療を行うことが状態や予後などがんの治療に影響を及ぼさないと判断し、文書による妊娠の許可が得られ、患者様本人の意思に基づき凍結未受精卵子融解の同意書が提出された場合に、この卵子を用いた不妊治療が可能となります。
未受精卵子の融解後、パートナーの精子と顕微授精をおこないます。

卵子の凍結融解後の生存率は成熟卵子の場合約95%前後です。悪性腫瘍の場合は、成熟卵子を単離するため、卵子凍結保存は卵巣組織凍結に比べ、悪性腫瘍細胞再移植の危険性が少ないと考えられています。

卵子凍結保存による妊娠例は今世紀に入るまで非常に限られていたましたが、顕微授精の技術やガラス化凍結法の採用により、現在では臨床実施事例も増え、現実的な選択肢となっています。世界では、特にヨーロッパでは1000人以上の児が生まれています。しかし、まだ10年しか経過していない技術であり、臨床的有用性や出生児の安全性については信頼すべきデータが揃っていない状況です。そのため、生まれた子どもの長期追跡調査が重要であるとされています。このような状況から、凍結卵子による出生率は一般的に1個の凍結卵子あたり5%程度であると報告されています。

治療成績やリスクを考慮した場合、40歳以上では、妊娠率・生産率が低下し、妊娠高血圧症候群など妊娠中の異常の発症率も高くなるため未受精卵子の採取時の年齢は40歳以上の方は推奨できません。また凍結保存した未受精卵子を融解し、顕微授精後に胚移植する年齢においては、周産期の異常が増えるなどの理由で45歳以上の方には推奨できません。

精子の採取・凍結保存

医学的な適応としての精子の凍結保存・融解法は、夫のがん治療開始前に妊孕性温存を目的に行われる場合や精巣内精子回収術などの手術を行わなければ精子の回収が難しい場合に手術により得られた精子の有効な使用を目的に行われます。

凍結精子を融解した後の生存率は約40%です。また凍結融解の過程で受精に必要な精子の先体反応にも影響があるため、融解後の精子を用いた治療には顕微授精が必要となります。顕微授精では1個の卵子に対し、必要な精子も1個であるため、融解後でも運動性の高い正常形態の精子をできるかぎり探して治療に用いるため、その後の受精率や妊娠率は新鮮射出精子を用いた顕微授精と変わりません。