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スタッフブログ

第64回日本生殖医学会学術講演会・総会に参加して

カテゴリー: 学会参加レポート 2019年12月3日

2019年11月7日・8日に第64回日本生殖医学会学術講演会・総会が神戸市で開催されました。
メインテーマを「世界に発信する個別化生殖医療」とし、一般演題には口頭演題50セッション254題、ポスター展示327題と計581題の発表が行われ、とても活発で有意義な内容でした。当院からも口頭演題で培養部から1題、ポスター展示で医局と看護部からそれぞれ1題ずつ発表を行いました。
培養部からは当院培養士の仲宗根が、「市販のヒト胚培養液が培養成績と妊娠経過に及ぼす影響」についての発表を行いました。
現在、様々な種類の市販の培養液が使用されていますが、それらを比較した報告はまだ数が少ないのが現状です。今回は当院で使用していた3種類の培養液でランダム化臨床試験を行いました。これまでに培養成績(胚盤胞になる確率)が高い培養液と良質な胚ができる培養液は必ずしも同じではないということを明らかにしており、今後児の健康を含めた追跡調査を行い、培養液の安全性を確かめていく必要があります。
医局からは小川医師が、「当院における反復着床不全に対するERA(Endometrial Receptivity Analysis; 子宮内膜受容能検査)の有用性の検討」という演題で発表を行いました。
ERAとは、子宮内膜の着床に関連する遺伝子発現の解析を行う検査です。不妊原因のひとつとして、良好胚ができても子宮内膜が着床準備するタイミングが合っておらず、妊娠に至らない場合があります。ERAを行うと子宮内膜で胚が着床する準備ができているのがわかり、胚移植の時期を最適化できます。これをpET(personalized ET;個別化胚移植)といいます。当院での反復着床不全症例における妊娠率としては良好な結果が得られ、難治症例に対して期待できる検査であると考えられます。
看護部からは園田主任が、「不妊治療と仕事の両立を支援する両立支援外来を開設して」という演題で発表を行いました。
当院では、仕事を持つ女性が不妊治療と両立できるよう両立支援外来を開設して、情報提供や仕事の状況に応じたスケジュール調整を行っております。月経周期に関係なくスタートできる卵巣刺激法やホルモン補充療法を用いることで計画的なスケジュールを立てることができ、最小限の受診でARTを受けることが可能になります。通常のARTと比較しても治療成績は変わらず、任意のアンケート結果より仕事との両立支援に有効なサポートであることがわかりました。
これからも患者様の治療に有益な知見を取り込み、その比較検討を行いながら良い結果につないでいきたいと思います。

また今回、当院院長である蔵本武志が日本生殖医学会2019年度臨時社員総会にて、我が国の生殖医療の発展に情熱を傾け貢献したことを評価され、功労会員証を授与されました。

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功労会員証授与の様子


培養室 一木 巴恵

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